遺言書の写真

遺言とは、主に、自分が亡くなった後に、自分の財産等を家族等へどのように引き継がせるかを法的に定めておく意思表示のことをいいます。

また、自分が亡くなった後、残された家族等がどのように過ごしていってほしいか等の思いを最後のメッセージとして残すことでもあり、これによって円満に相続手続を進めることができるという機能も併せもっています。

遺言と法定相続の関係

人が亡くなって相続が開始すると、遺言がなければ、民法の規定にしたがって手続が進められていきます。これを「法定相続」といい、民法には相続する人や相続分が細かく定められています。経験上、きょうだい又は甥姪が相続人となるようなケースで、相続人が増え、相続関係が複雑化し、相続手続が長期化する傾向にあるように思います。

優先される相続順位 亡くなった方との関係
第1順位

子および代襲相続人(孫)

第2順位

両親等の直系尊属

第3順位

兄弟姉妹および代襲相続人(甥姪)

しかし、ここで遺言があれば、この法定相続の規定よりも優先されます。
自分の財産を自分の意志に沿った形で家族等へ引き継がせることができるのです。

例えば、
「長男に祭祀を承継させる代わりに、より多くの財産を残したい。」
「血縁ではないが、自分の世話をしてくれた人に自宅の土地と建物を譲りたい。」
「自分の財産を信仰しているお寺のために役立ててほしい。」
等の意志を遺言書に書いておけば、そのとおりにかなえることができます。

遺言書の作成が望ましいケース
  • 子どもがおらず配偶者に遺産を全部のこしたい。
  • 特定の相続人に財産をのこしたい。
  • 相続人以外の世話になった人に財産をのこしたい。
  • 遺される配偶者に配偶者居住権を設定したい。
  • 内縁関係のパートナーに遺産をのこしたい。
  • 相続人がいない、または大勢いる。
  • 離婚した相手との間に子どもがいる。認知したい子どもがいる。
  • 相続人の仲が良くない。または疎遠である。
  • 財産が多い。(例:不動産を複数所有している)
  • 相続人の中に、音信不通または行方不明の人がいる。
  • 連れ子等、家族構成に複雑な事情がある。
  • 子どもが障がいを持っている。
  • 看護・介護等で世話になった人に財産を譲りたい。
  • 特定の団体へ寄付をしたい。

司法書士に依頼するメリット

遺言書は、ご自身で作成することも可能ですが、司法書士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

1 適切なアドバイスのもと、間違いのない遺言書を作成することができます。

遺言書は、民法の厳密な規定にしたがって作成する必要があり、有効な遺言書と思っていても、後に、遺言自体が無効となることもありえます。

また、相続人となる人が誰であるかを調査したり、遺留分や相続財産の割当て等を考慮したりする必要があります。

これらの問題を司法書士が関与することで、相続人間での事後的なトラブルを防ぎ、法的に間違いのない遺言書を作成することができます。

2 遺言執行者として、遺言内容の実現を最後までお手伝いします。

遺言で「遺言執行者」を定めておけば、不動産の登記や預貯金の解約・分配といった手続を遺言執行者が単独で行うことができます。相続財産が多数である場合や権利・相続関係が複雑である場合等、司法書士を遺言執行者に指定しておけば、相続が発生したときに円滑に相続財産の分配を行うことができます。これによって、相続人の事情で相続手続が長期化することなく、遺言内容を確実に実現させることができます。

公正証書遺言の手続の流れ

  • 1

    遺言内容のご希望の聞き取り

    遺言のご希望をうかがい、その内容を検討します。
    親族関係や財産の種類等、遺言に関する資料があればお持ちください。

  • 2

    必要書類の収集

    戸籍や不動産の登記事項証明書等必要書類を収集します。

  • 3

    公証人との打合せ

    司法書士が公証役場へ連絡をして、遺言書の原案、必要書類等を送ります。
    公証人の確認後、公証役場へ行く日時の予約をします。
    ※公証人に自宅や病院等遺言者のもとへ来てもらうことも可能です。
    (その際には、公証人出張費用が別途発生します)

  • 4

    公正証書遺言の作成

    公証役場で、証人2名の立ち会いのもと、公証人によって遺言者と証人二人に遺言内容の読み聞かせを行います。
    最後に全員が署名し、公正証書遺言の手続は完了となります。
    ※公証人費用は、当日現金でお支払いします。

業務内容
  • 遺言内容についてのご相談
  • 遺言書の書き方のアドバイスや遺言案の作成
  • 公正証書遺言の証人の手配
  • 戸籍等必要書類の収集
  • 遺言執行業務
  • 自筆証書遺言書等の検認申立書作成

※当事務所では、「安全性と確実性」の観点から、公正証書遺言をお勧めしております。

死後事務委任契約

死後事務委任契約とは、委任者(事務を頼む人)が受任者(事務を行う人)に自分の死後の事務を生前に依頼する契約をいいます。

死後事務の例としては、以下のものが想定されます。

  1. 菩提寺・親族等関係者への連絡事務
  2. 通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬、永代供養に関する事務
  3. 医療費、老人ホーム等の施設利用料その他一切の債務弁済事務
  4. 賃借建物の明渡し、敷金もしくは入居一時金等の返還金の受領
  5. 家財道具や生活用品の処分に関する事務
  6. 行政官庁等への諸届け事務
  7. 相続財産管理人の選任申立手続

一般的に、これらの事務手続は家族や親族が行うものです。
しかし、親族と疎遠である人やそのような人がいない人は、何らかの対策をしておかないと、誰も上記のような事務をしてくれる人はいないことになります。このようなときに、死後の事務手続を生前のうちに誰かへ委任しておくことができる「死後事務委任契約」が必要になります。

この契約は、事務を任される者に制限はありませんので、親しい知人や仕事時代の後輩等信頼できる人へ依頼することもできますが、必ずしも適当な候補者がいない場合には、司法書士等の第三者の法律専門家が選択肢になります。

特に司法書士は、死後事務委任契約と密接に関係する遺言・成年後見・相続の各制度に精通していますので、死後事務の受任者には最適であると考えられます。

死後事務委任契約と遺言執行の関係

死後事務と遺言は、それぞれ委任者または遺言者の死後において、執行を行う点で共通していますが、性質的な違いがあります。その違いは、遺言は主として相続財産に関する権利の帰属やその分配について定める「法律行為」であるのに対して、死後事務委任契約は上記のような「事実行為」(死後事務)を契約によって委任するという点です。

別の言い方をすれば、遺言によって決めておける事項は限られているのに対して、死後に想定される事務の種類は多数にのぼることから、死後事務委任契約は、遺言では行き届かない委任者の希望事項を契約によってカバーする形をとるということになります。

遺言と死後事務委任契約は互いに補完する格好になるので、身寄りのない方が遺言書を作成される際には、併行して契約をされることをお勧めします。